2014年02月28日
読書感想文 特選の紹介
枕崎市立図書館 読書感想文集 第32集
平成25年度 感想文コンクール 高校の部 特選
『食べることは生きること』 枕崎高等学校 1年 M・I さん
私の通っていた中学校では,平成25年度から「弁当の日」という日を実施した。その頃,私は中学3年生だったが,なぜそういった取り組みをするのか理解できなかった。
しかし,今,食のありがたさを実感できているのは,「弁当の日」のおかげである。今回,私が読んだ『はなちゃんのみそ汁』は,改めて食について考えさせられる本だ。
2003年2月20日。乳がん患者の安武千恵さんのもとに,一つの小さな命が誕生した。名前は「はな」と名づけた。誰からも愛され,人を癒し,優しい女性に育ってほしいからだ。これからは,旦那さんである信吾さんを含め,3人で生活していくことになる。しかし,乳がん患者である千恵さんには,家族と過ごせる時間に,タイムリミットがあった。
そんな千恵さんは,自分がいつなくなってもいいように,幼い娘,はなちゃんに包丁を持たせ,家事を教えた。ほかにも,洗濯の仕方,そうじの仕方など生きる力が身につくように教えた。
現在,はなちゃんは朝,信吾さんと2人でかならずみそ汁を作る。それは,千恵さんが亡くなったときから続けている。食事をしっかりととれば健康でいられる。健康でいられれば,生きていける。みそ汁を作るのは,はなちゃんと千恵さんの約束だ。温かい食卓を囲めば,「自分は1人ではない」と実感できるだろう。
この本に,もっと早く出会っていれば,私の「弁当の日」に対する姿勢が少しでも変わっていただろう。
第1回目の感想は,「めんどうくさい。」の一言だ。ただでさえ早起きが苦手なのに,それプラス弁当つくりだ。私には地獄だった。前日に,
「めんどうくさいから作って。」
と母に頼んだ。「弁当の日」は,自分一人の力で弁当を作るのだ。もちろん,買い出しから後片付けまで。それを知っていた母は,こう言った。
「実際に作らないと,作る人の気持ち,大変さはわからない。」
その時は,なんとも思わなかった。しかし,弁当を作り終えた頃には,大変さと食のありがたさを知ることができた。だから,私は,母の作る料理を残さず食べるようになった。
食に対する意識が変わったのは私だけではなかった。「弁当の日」を知らなかった兄だ。
弁当の日をうけてから,私は母の料理の手伝いを始めた。その光景を見ていたのだろうか。私の中学校卒業式三日前に,母が体調をくずし入院した。一週間入院だそうだ。もちろん卒業式には出席できない。卒業式の朝は白ご飯に納豆でもかけて食べようと考えていた。
朝,6時に起きてキッチンに行くと,そこには,兄の姿があった。私の目の前に置かれた皿には,形の悪い目玉焼きが準備されていた。私のために作ってくれたのだと言う。卒業式よりも先に泣いてしまった。本にもあったように,食を変えれば人が変わるとはこのことだと思った。誰かのために食事を作れば思いやりがあふれると実感した。
涙が出てくるほど感動した本は,久しぶりだった。きっと一生私の心の中に残っているだろう。「食は命」の言葉が頭から離れない。命とはなにか,家族とはなにか,食とはなにか。大切なことを改めて考えさせてくれる本だった。ぜひ一度で良いから読んでもらいたい。きっと,親は子供を抱きしめてあげたくなるだろう。子供は親の顔を浮かべ温もりを感じるだろう。
書名:はなちゃんのみそ汁
著者:安武信吾・千恵・はな
出版社:文藝春秋

2012年6月3日 枕崎中 第1回弁当の日に
M・I さん が作った弁当です
了承をもらい文と画像を紹介しました。
ご協力いただいた「枕崎高校」と「枕崎市立図書館」にもお礼申し上げます。
平成25年度 感想文コンクール 高校の部 特選
『食べることは生きること』 枕崎高等学校 1年 M・I さん
私の通っていた中学校では,平成25年度から「弁当の日」という日を実施した。その頃,私は中学3年生だったが,なぜそういった取り組みをするのか理解できなかった。
しかし,今,食のありがたさを実感できているのは,「弁当の日」のおかげである。今回,私が読んだ『はなちゃんのみそ汁』は,改めて食について考えさせられる本だ。
2003年2月20日。乳がん患者の安武千恵さんのもとに,一つの小さな命が誕生した。名前は「はな」と名づけた。誰からも愛され,人を癒し,優しい女性に育ってほしいからだ。これからは,旦那さんである信吾さんを含め,3人で生活していくことになる。しかし,乳がん患者である千恵さんには,家族と過ごせる時間に,タイムリミットがあった。
そんな千恵さんは,自分がいつなくなってもいいように,幼い娘,はなちゃんに包丁を持たせ,家事を教えた。ほかにも,洗濯の仕方,そうじの仕方など生きる力が身につくように教えた。
現在,はなちゃんは朝,信吾さんと2人でかならずみそ汁を作る。それは,千恵さんが亡くなったときから続けている。食事をしっかりととれば健康でいられる。健康でいられれば,生きていける。みそ汁を作るのは,はなちゃんと千恵さんの約束だ。温かい食卓を囲めば,「自分は1人ではない」と実感できるだろう。
この本に,もっと早く出会っていれば,私の「弁当の日」に対する姿勢が少しでも変わっていただろう。
第1回目の感想は,「めんどうくさい。」の一言だ。ただでさえ早起きが苦手なのに,それプラス弁当つくりだ。私には地獄だった。前日に,
「めんどうくさいから作って。」
と母に頼んだ。「弁当の日」は,自分一人の力で弁当を作るのだ。もちろん,買い出しから後片付けまで。それを知っていた母は,こう言った。
「実際に作らないと,作る人の気持ち,大変さはわからない。」
その時は,なんとも思わなかった。しかし,弁当を作り終えた頃には,大変さと食のありがたさを知ることができた。だから,私は,母の作る料理を残さず食べるようになった。
食に対する意識が変わったのは私だけではなかった。「弁当の日」を知らなかった兄だ。
弁当の日をうけてから,私は母の料理の手伝いを始めた。その光景を見ていたのだろうか。私の中学校卒業式三日前に,母が体調をくずし入院した。一週間入院だそうだ。もちろん卒業式には出席できない。卒業式の朝は白ご飯に納豆でもかけて食べようと考えていた。
朝,6時に起きてキッチンに行くと,そこには,兄の姿があった。私の目の前に置かれた皿には,形の悪い目玉焼きが準備されていた。私のために作ってくれたのだと言う。卒業式よりも先に泣いてしまった。本にもあったように,食を変えれば人が変わるとはこのことだと思った。誰かのために食事を作れば思いやりがあふれると実感した。
涙が出てくるほど感動した本は,久しぶりだった。きっと一生私の心の中に残っているだろう。「食は命」の言葉が頭から離れない。命とはなにか,家族とはなにか,食とはなにか。大切なことを改めて考えさせてくれる本だった。ぜひ一度で良いから読んでもらいたい。きっと,親は子供を抱きしめてあげたくなるだろう。子供は親の顔を浮かべ温もりを感じるだろう。
書名:はなちゃんのみそ汁
著者:安武信吾・千恵・はな
出版社:文藝春秋

2012年6月3日 枕崎中 第1回弁当の日に
M・I さん が作った弁当です
了承をもらい文と画像を紹介しました。
ご協力いただいた「枕崎高校」と「枕崎市立図書館」にもお礼申し上げます。
Posted by TETU
at 08:58
│Comments(1)
というといかけにあなたは、なんと答えますか?